予防接種について健診について

健診(検診)のススメ

健診(検診)の最大のメリットは、病気やがんを早期に見つけて、適切な医療につなげ、命を守ることです。健診(検診)は、科学的な根拠に基き、国(厚生労働省)が定めた基準(ガイドライン)に準拠しており、検査を受ける方になるべく負担をかけない(心身への影響や制限、偶発症を抑制し、時間や費用が少なく済む)簡易かつ安価な検査で実施されています。健診(検診)でもし病気が見つかっても早期に治療につながり、「病気で苦しむ」ことが少なくなると思われます。健診(検診)は健康な人生を送れる最高で安価な予防医学なのです。

健康診断

(1)健診と検診の違い

健診は健康を診断(診査)するものですから、病気があるかどうか、そのリスクがあるかどうかをチェックします。会社で行う定期健診や、学校での健康診断、乳幼児健康診査、年齢による特定健康診査などが含まれます。肥満やメタボリックシンドロームはないか、血圧は正常の範囲内かなど、体の全体的なチェックとともに、生活習慣を見直すことが目的です。

このように、疾患を発症する前に防ぐことを「一次予防」と言います。一次予防には健康増進(生活習慣の改善)と特異的予防(予防接種や職業病対策など)がありますが、健診による一次予防は主に健康増進が目的です。健康診断を受けた後は、結果をもとに食生活や運動、飲酒、喫煙、ストレス解消などの生活習慣を見直しましょう。

一方、検診は特定の疾患または病態があるかどうか調べるもので、主に発症すると重篤化して治療が困難になったり、コストが莫大にかかったりするような疾患について調べます。有名なものでは胃がん・大腸がん・肺がん・子宮がん・乳がんなどのがん検診や歯科検診などがあり、体全体ではなく特定の臓器を検査します。

このように、特定の疾患にかかっているかどうかを早期発見し、早期治療を目指して処置を行うことを「二次予防」と言います。早期発見と早期治療の両方を二次予防と言い、検診は早期発見に当たります。人間ドックは基本的には精密な健康診断とされますが、オプションでスクリーニング検査を行う場合は検診であると言えます。

(2)健診の種類

1)乳幼児健診

乳幼児健診とは、正式には乳幼児健康診査といいます。乳幼児健診は母子保健法に基づいて、市区町村が実施しています。乳幼児健診では、赤ちゃんの発育や発達、健康状態を定期的にチェックするとともに、保護者が赤ちゃんの発達や普段気になっていることを、医師や保健師、栄養士などの専門家に相談できる機会でもあります。

東近江市でも健診のお知らせが、個別に送られてきますので確実に受けるようにしましょう。

<参考ホームページ>
乳幼児・子どもの健康診査|東近江市ホームページ

乳幼児健診

2)学校健康診断

文部科学省によると学校健康診断の目的は、

  1. 学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的とし、子供の健康の保持増進を図る。
  2. 学校生活を送るに当たり支障があるかどうかについて疾病をスクリーニングし、健康状態を把握するという役割と、学校における健康課題を明らかにして健康教育に役立てる。


その目的のため毎年すべての学年で4月から6月の間に全国で行われています。(ちなみに大学生も本来毎年受ける必要があります。)学校健診は東近江医師会の先生が担うことが多いです。その理由は日本独特の集団健診システムです。米国ではプライバシーを重視して保護者が個別に小児科に連れていく形式ですが、日本では学校で集団健診として医師会から医師が学校に出向し診察を行うことで、非常に高い参加率を維持しています。 学校健診では以下の項目を調べることになります。

  1. 身長及び体重
  2. 栄養状態
  3. 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無 並びに四肢の状態
  4. 視力及び聴力
  5. 眼の疾病及び異常の有無
  6. 耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無
  7. 歯及び口腔の疾病及び異常の有無
  8. 結核の有無
  9. 心臓の疾病及び異常の有無
  10. 尿
  11. その他の疾病及び異常の有無
学校健康診断

心電図検査は小学校、中学校、高校の入学時に行います(大学でも行われるようです)。

学校健診は時代とともに内容が少しずつ変更されています。まず座高の測定と虫卵検査や色覚検査が原則廃止となっています。さらにツベルクリン反応で確認していた結核健診は問診票が中心となっており、胸部レントゲン検査も高校生の1年生で受けることとなっています。 新たに加わったのが運動器検診です。これは、背骨が左右に曲がる 側彎(そくわん)症を含む背骨の病気や、胸郭の異常、手や足など四肢の異常を見つけるための検診です。近年の運動不足の子供たちが増加したため、追加されたと思われます。

<参考ホームページ>
学校健康診断をめぐる現状と経緯について|文部科学省

3)定期健康診断

一般的に、会社で年1回(業務内容によっては半年に1回)行われる健康診断です。
労働安全衛生法で実施が定められていて、事業主が費用を負担し、労働者の健康をチェックするものです。基本的な項目は以下のとおりです。

  • 既往歴及び業務歴の調査
  • 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  • 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  • 胸部レントゲン検査
  • 血圧の測定
  • 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
  • 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GPT)
  • 血中脂質検査(LDL コレステロール、HDLコレステロール、 血清トリグリセライド)
  • 血糖検査
  • 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  • 心電図検査
血液検査

これ以外も特殊な職場環境ではそれに準じた検査(例えば有機溶媒等の使用現場での中毒検査)が定期的に行われます。
また採用時にも定期健康診断に準じた雇用時健康診断が行われます。

<参考ホームページ>
労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等について|厚生労働省

3)特定健診(特定健康診査)

特定健診は、40歳以上75歳未満の方を対象に行われる健康診断です。(職場等で健診を受けられてない方)以下が基本的な検査項目になります。

  • 既往歴(服薬歴、喫煙習慣を含む)
  • 自他覚症状(理学的所見)
  • 身長・体重・腹囲・BMI
  • 血圧
  • 肝機能(AST (GOT)、ALT (GPT)、γ-GT (γ-GTP))
  • 脂質(トリグリセライド、HDLコレステロール、LDLコレステロールまたはNon HDLコレステロール)
  • 血糖(空腹時血糖またはHbA1c)
  • 尿糖・尿たんぱく

尚東近江市の国民健康保険加入者は尿潜血・血清クレアチニン・血清尿酸値も必須検査となります。貧血検査や心電図検査・眼底検査は医師が必要と認めた場合になります。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の保険加入者も特定健診を受けられます。
19歳から39歳の方で学校や職場での検診を受けらない場合は、東近江市では1000円で健診を受けられます。(一般健康診査)

<参考ホームページ>
あなたが受ける健診・検診を確認しましょう。|東近江市
滋賀県内の特定健診実施機関|全国健康保険協会

滋賀県特定健診サイト

3)後期高齢者医療健診(高齢者健康診査)

後期高齢者医療健診は、75歳以上の方が対象で生活習慣病の予防、重症化を防ぐこと、また、フレイル(虚弱)を予防することを目的とした健診です。項目はほぼ特定健診と同じです。

<参考ホームページ>
あなたが受ける健診・検診を確認しましょう。|東近江市

3)妊婦健診

 妊婦健診とは、妊娠中のお母さんの健康状態と、おなかの赤ちゃんの成長や健康について確認するものです。妊娠中はお母さんも赤ちゃんも体が急速に変化するため定期的に経過を診る必要がありますが、たくさんの検査があり、費用もかかります。(医療保険外

<参考ホームページ>
妊婦健診の費用と流れをスケジュール表で解説|国立成育医療研究センター

東近江市では妊婦健診に対して助成制度があります。
妊産婦医療費助成制度|東近江市

妊婦健診

(2)検診の種類

1)がん検診

以下の表のように検査項目・対象年齢・受診間隔が決められています。

検診一覧
<厚生労働省 ホームページより>

東近江市のがん検診は以下のホームページを参照ください。

<参考ホームページ>
がん検診を受けましょう|東近江市

2)その他の検診

1、結核検診

65歳以上の方は年1回結核検診で胸部レントゲン検査を受けられますが、肺がん検査は受けられなくなります。肺がん検診は東近江市では集団検診のみで実施されますが、そのレントゲン写真の読影は2名の医師で行われており、その分診断の精度は高いと思われます。

2、肝炎ウイルス検診

肝炎は国内最大級の感染症といわれ、B型は約110万人~140万人、C型は約200万人~240万人の感染者がいると推定されています。しかしB型肝炎・C型肝炎は感染していても症状が現れにくいため、気付かないうちに肝臓の炎症が進み肝硬変や肝がんへと進行してしまうことがあります。これまで肝炎ウイルスの検査を受けていない人は、自覚症状がなくても検査を受けることをお勧めします。40歳以上の方でいままで検査をされてない方のみ助成の対象となります。

<参考ホームページ>
がん検診を受けましょう|東近江市

3、歯周病検診

歯周病は自覚症状が少なく、気づいた時には重症化していて進行を止めることが難しくなるため、早期に発見し治療をすることが大切です。また糖尿病等の内臓疾患とも関連があるといわれています。若い年代から定期的な検診を受けることが大切です。

<参考ホームページ>
歯周疾患検診を受けましょう|東近江市

4、 風しん抗体検査

風しんは、成人がかかると症状が重くなることがあります。また、妊娠初期の妊婦さんに感染させてしまうと、生まれてくる赤ちゃんの目や耳、心臓に障害が起きることがあります。そのため1977年からワクチンの定期接種が始まりましたが、当初は女子中学生だけが対象でした。しかし2018年ごろに風しんの流行がおこります。抗体がないまま成人した30~50代の男性が主な感染源となり、職場などから広まったとみられました。そこで厚生労働省はワクチン定期接種を行っていなかった昭和37年度~昭和53年度生まれの男性の皆様に、住まいの自治体から、原則無料で風疹の抗体検査と予防接種を受けていただけるクーポン券を送ってました。この事業は令和7年3月31日に終了しましたが、現在も1)妊娠を希望する女性 2)風しんの抗体価が低い妊婦の配偶者などの同居の方は無料で抗体検査を受けることができます。詳しくは滋賀県のホームページを参照ください。

<参考ホームページ>
風しん抗体検査について|滋賀県

最後に

東近江市では集団健診(検診が)実施されています。詳しいことは東近江市健康ガイドブックを参照してください。また東近江医師会を中心とした指定医療機関でも健診(検診)は受けられる場合があります。かかりつけ医にご相談ください。最初にお話ししましたように、健診(検診)は自分の健康を守る大きな武器です。しかし時代とともに内容も変化しています。自分に合った健診(検診)を選び、そしてその結果をとうして健康づくりに励まれること、そしてこの医師会の記事が参考になれば幸いです。