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予防接種(ワクチン)とは?
古くは天然痘から始まって、その後のペスト、インフルエンザなど人類の歴史は常に感染症とともにあります。このような感染症の大流行(パンデミック)によって、今までに何百万人、何千万人の人が亡くなってきました。20世紀になってからでも、1918年から全世界的に流行したスペイン風邪(インフルエンザ)で、全世界で2000万人から4000万人の死者がでたと言われています。
感染症に対して人類が初めてワクチン接種による予防を行ったのは、1798年イギリスのエドワード・ジェンナーです。

。彼は、人の天然痘という感染症を牛痘(牛がかかる天然痘)を用いて予防できることを示したのですが、これが初めて報告されたワクチンです。その後様々な種類のワクチンが多くの感染症に用いられ、感染症の発症や重症化を予防できることが示されてきました。ワクチンを受けることで、免疫(感染に対抗する力)をつけて症状を出さなかったり、症状を出しても重い症状になりにくくなったりすることができます。ワクチンは、自分を守り、また周囲への流行を防ぐためのものなのです。
ワクチンの種類とそれを受ける時期
予防接種(ワクチン)には「定期接種」「任意接種」があります。「定期接種」は予防接種法に基づき実施され、市区町村長が行います。接種の対象年齢が決められています。対象年齢であれば、これらにはたいがい公費による補助があります。対象年齢から外れると、任意接種となってしまいますので注意が必要です。「任意接種」は予防接種法に基づかないものです。個人の判断で受けることになり、接種費用は自分で負担する必要があります。「任意」ですが、接種する意味や必要がないということではありません。
定期接種は、いつまでに接種を完了せねばならないかが決まっています(ワクチンごとに接種時期や接種間隔の目安があります)。また、任意接種についても、接種のできる期間や年齢の決まっているものがあります。どのようなワクチンがあって、それをいつ打たないといけないかは東近江市健康ガイドブックを参照して下さい。
子どもさんへのワクチンの情報は下記のHPも参考になります.
ワクチンの副作用
ワクチンは病気を予防するものです。従って健康な状態の時に接種することが必要です。また感染症が世界的なパンデミックになるような状態となった時(2020年から始まった新型コロナ感染症がよい例です)、日本中(あるいは世界中)の大部分の人がワクチンを打つことが必要な状態となりました。一部の人しかワクチンを打たないと、ワクチン非接種者が感染し、この人たちが感染源となって感染がいつまでも終わらないことになるからです。ただ、健康な状態でワクチンを打つため、その後少しでも体調不良があった時には、それがワクチンの副作用と誇張されて考えられることがあります。科学的な根拠のないSNS等による情報が、このワクチン副作用のうわさを増幅することになります。
新型コロナ感染症では、全世界で700万人の人が亡くなりましたが、新しくできたmRNAワクチンを導入したおかげで、最初の1年間で1,440万人の死亡を防いだと言われています。このmRNAワクチンを実現可能にした功績で2023年のノーベル医学・生理学賞はアメリカの2人の研究者が受賞しています。

このようにワクチンの研究や技術開発は、人類にふりかかった大きな災害を救ってきた立役者なのです。
ただどのようなワクチンも、程度の差はあれ副作用の危険性があります。残念ながら、まったく副作用のないワクチンというのはありません。多くの副作用は一時的なもので心配ありませんが、ごくまれに重大な副反応の起こることもあります。またこの人に重大な副作用が起こるかどうかを事前に予想することも困難です。しかし、病気による重い症状や合併症の方がはるかに危険なため、ワクチンを受ける利点の方が大きいのです。
ワクチン接種は体調の良い時に受けましょう。また受けるワクチンのことをある程度調べて、充分に納得してから接種してください。ただ、自分で調べるといっても限界があります。Webを使って調べる場合には根拠のないうその情報もたくさん存在します。少しでもワクチンに疑問がある場合には、打つ前にかかりつけ医に相談してください。私たちかかりつけ医はそのような質問に答えるために存在しています。もし、万が一重大な副作用と思われる症状が起こった場合には、接種を行った医療機関と市の担当課(健康医療部健康推進課)に連絡して下さい。
<健康医療部健康推進課>
新型コロナワクチンの副反応・予防接種健康被害救済制度|東近江市ホームページ
がんを防ぐワクチンがある
がんを予防できるワクチンがあるのをご存じでしょうか?ただし、全てのがんを予防できるわけではありません。子宮頸がんは年間1万1千人の人がこの病気になり、1年間で約3千人の人がなくなる病気です。子宮頸がんの原因は性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)感染です。ウイルスに感染した中の一部の人が、感染後数年から数10年をかけて子宮頸がんになります。HPVワクチンを打つことで、HPVに対する免疫を誘導してHPV感染を防止し、子宮頸がんの発症を予防できます。
HPVワクチンは子宮頸がんの発症抑制に極めて有効であるため、世界的には多くの女子がこのワクチンを接種しています。カナダ、イギリス、オーストラリアでは80%以上、アメリカで60%以上の接種率です。一方、日本でのHPVワクチンの接種率は、2023年7月時点で7.1%と先進国の中では極めて低い状況が続いています。日本で接種率が低いのは、マスコミによってこのワクチンの副反応が大々的に取り上げられたことも原因の一つと思われます。ただ、最初に報道されたワクチン接種後の失神などの症状はHPVワクチン接種とは因果関係がないことが示されています。
このワクチンの定期接種の対象年齢は12歳から16歳までの女子となっていますので、打った方がいいかどうかの判断は本人だけでは困難かと思われます。ご両親の賢明な判断が求められます。ワクチンの効果、ワクチンの副作用に関して疑問があればかかりつけ医ともしっかり相談して決めてください。このワクチンのしっかりした情報は以下のホームページも参考になります。